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【レポート】世界で大注目の山里!徳島県上勝町へ行ってきました
2025/12/10
注目情報
こんにちは!Flowlifeスタッフのmiyagawaです。
突然ですが、11月の終わりに徳島県上勝町(かみかつちょう)へ行ってきました!
上勝町は知らなくても「葉っぱビジネスの町」と聞けばピンとくる方も多いのではないでしょうか。徳島市内から車で1時間以上内陸へ入った山間部にある、人口1,200人ほどの「四国で一番小さな町」。総面積の9割が山林という環境を活かし、葉っぱや草を料理の“つまもの”として販売する(しかも採ってくるのは地元のおばあちゃんたち!)という画期的なアイデアが注目され、映画化もされるなど一躍有名地になりました。

その上勝町は2003年、自治体として日本初の「ゼロ・ウェイスト宣言」を行い、今や世界的に有名なSDG’sの先進地として知られています。ゼロ・ウェイストというのはつまり、無駄なゴミを0にするということ。家庭ゴミを40以上に細かく分別することで資源として活用するという取り組みです。リサイクル率は、なんと80%!
また、近年は移住者の受け入れに力を注いでおり、「上勝パラダイス宣言」と銘打った移住促進事業にも注目が集まっています。今回はそんな上勝町を肌で感じようと、伊豆諸島・小笠原諸島地域力創造対策協議会主催の先進地視察へ参加しました!

日本一ゴミを細かく分別するワケ
2020年、上勝町にオープンした「ゼロ・ウェイスト」の拠点ゼロ・ウェイストセンター「WHY」は町内で唯一のゴミステーションやリサイクルショップ、体験型ホテル、コミュニティセンターなどが併設された複合施設。不思議な形をした施設は廃材をあしらったスタイリッシュなデザインで、おしゃれカフェやショップが並んでいそうな雰囲気。一見すると、ここにゴミが集まっているとは思えません。


上勝町にはゴミ収集車がなく、住民自身がセンター内のゴミステーションに持ち込むのがルール。材質や形状に応じて、指定の回収カゴにゴミを入れていくのですが、カゴの前には「このゴミを処分するのにいくら払うのか、またはいくらお金が入ってくるのか」が数字で書かれ、自分が出したゴミでどんな風にお金が動くのか、ひと目でわかるのが面白いところ。

もうひとつ、「生ゴミを出さない」のも大きな特徴です。各家庭にはコンポストや生ゴミ処理機が完備され、生ゴミを分解して堆肥として活用するそうです。生ゴミがゴミ全体に占める割合は約4割。これだけで大きな削減です。町では生ゴミ処理機の購入補助があるので、住民の方は1万円ほどで買えるそう。このシステムはうらやましい!


上勝町のゴミに対する熱量の高さは、「ゴミをどうにかしないと町が立ち行かなくなる」という深刻な問題から生まれたものでした。面積の9割が山林という町内には集落が点在し、道幅が狭いこともあってゴミ収集車がゴミを回収するという習慣がもともとなかったそう。以前はゴミを大きな穴に捨てて野焼きにしていましたが、後に焼却炉を導入。ところが直後に法律が変わり使用できなくなり、わずか2年で閉鎖の憂き目に…。
日々のゴミを処理するには県外の処理場までコンテナで長距離輸送するしかなく、巨額の処理費が町のお金を圧迫するようになります。窮地に立たされた上勝町は「ゴミを出さない=ゼロ・ウェイスト」を目指して大胆に方向転換したのでした。
SDG’sの先進地といっても、住民が特別に意識が高いというわけではないようです。ポイントがもらえたり、世界中から注目されてたくさんの人が集まったり、移住したいという人が増えたり。面倒だけど、誰かのためになるし、自分にもいいことがある、それが上勝の人にとってのゴミなのかもしれません。
“どこでもある”を“ここにしかない”に反転する力
ゼロ・ウェイストという最先端の取り組みが、「移住したい」と思わせる魅力の一つになっている上勝町。上勝町の代名詞である葉っぱビジネス「いろどり事業」も、同じく移住者を引き寄せる大きな魅力と言えるかもしれません。
山から枝葉を採って売るという葉っぱビジネスは、主要産物だったみかんの木が大寒波で全滅するという危機から生まれたもの。当時JAの指導員だった横石知二さんが農家に呼びかけたところ、「落ちている葉っぱを拾うなんて乞食のやること」と猛烈な反発を受けたそうですが、地道に活動を続けたことで少しずつ農家が増加。スタートから40年がたった今では約150軒の農家が参加し、年商2億6千万円という一大産業に成長しています。
農家の多くは70~80代。体力がない高齢者でも作業できることや、山に詳しい人ほど活躍できる葉っぱビジネスは、葉っぱという“どこにでもあるもの”を上勝町にしかない新しい商品価値に大転換しました。山と島では環境が異なりますが、“もともとあるもの”に光を当てて地域の魅力にすることは、新島村でもできることがあると感じました。


町長自らPR!上勝町の移住支援環境がすごい
今回の視察に参加した最大の理由は、上勝町が行う移住支援施策の充実ぶりを確かめるためでした。世界的に注目される上勝町ですが、高齢化率は約52%と少子高齢化が深刻。人口減少も歯止めがかからない状態が続いています。
一方で、ゼロ・ウェイストと葉っぱビジネスという2大ブランドを持つ上勝町では、取り組みを維持・拡大していくために移住者の受け入れや雇用創出に力を入れています。2018年にオープンした移住ポータルサイトでは、町長自らPRに一役買っています。

まずは「上勝の暮らしを体験したい」という人のために、1日~1カ月滞在できるシェアハウスと、1カ月~1年滞在できる住宅(単身/家族向け)と2タイプのお試し暮らし体験施設を用意。上勝に住みたい!と思ったら、町営住宅がじつに116世帯分確保されているというからすごい。また、中古住宅購入費や改修費の補助など、空き家を確保した場合のサポートも受けられるそう。
また、家と並ぶ移住の2大課題の1つ、仕事についてはいろどり農家さんのもとで農業研修が受けられたり、農家さんを手伝いながら3年後に独立を目指すヘルパー制度など就農支援が充実。お試し暮らし体験をしながら農業インターンや研修を受ける人が多く、現地で働きながら移住体験ができる環境が整っています。

古くは林業で栄え、その後はみかん栽培が町の暮らしを支えてきた上勝町。今はつまものの産地、SDG’sの先進地として、国内外から多くの人がこの山里を目指しています。地場産業にふれることが移住や起業につながる上勝町の取り組みから、今後に活かせそうなヒントを得ることができました。
新島村には1週間~最長4週間滞在しながら島の暮らしを体験でき「定住化体験住宅を完備しています。お盆時期や年末年始を除けば通年利用できる施設ですので、新島村への移住を考えているという方にはぜひ活用していただきたいと思います。お問い合わせお待ちしています!