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【特集】島で看護師として働くということ
2023/08/31
就職
「離島の診療所」と聞いて、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか。絶海の孤島にたたずむ小さな家で、ドクターが細々と働いている……というのはドラマの中のお話ですが、実際に離島の医療がどんな風なのか、ほとんど見聞きすることはないと思います。
総合病院がある島があれば、医療施設が1つもない島もあり、本州と橋でつながっていつでも通院できる島、船で丸1日かけないと内地へ行けない島など、島によって医療環境はまったく異なります。では、新島村はどうでしょう?
現在、看護師を募集している新島村国民健康保険本村診療所で看護係長を務める岩切睦子さんに「島で看護師として働くこと」についてお話を伺いました。
*2024年1月9日現在、看護師募集は終了しています。
診療所は住民の命を守る、くらしの要
新島・式根島へ移住を考えている方に必ず聞かれるのが「島に病院はありますか?」という質問です。それに対して私たちは「島に病院はなく、診療所のみです。都会のような十分な治療はできませんが、入院できるベッドやレントゲンなどの検査設備もあり、人工透析も受けられます。信頼できるお医者さんや、頼りになる看護師さんも多いです」と答えています。そんな診療所について、まずはご紹介します。
診療所は正式名称を「新島村国民健康保険診療所」といい、新島村で唯一の医療機関として住民に親しまれています。新島は本村と若郷の2カ所、式根島は1か所診療所があり、各島に医師と看護師が勤務しています。
新島は常駐の所長が1名と、東京から1年交代で派遣される医師2名の3名体制。看護師は村在住の職員が8名体制で勤務しています。式根島は1年交代で東京から医師が1名派遣され、看護師は2名が常駐しています。
診療所の診察は、平日午前が外来診療、午後は往診と予約診療が基本。第1・第3水曜日の午後に予防接種、第2・第4水曜日に妊婦検診があるほか、眼科や皮膚科、整形外科などの専門医が東京より来島して行う専門診療が年に数回行われています。その他、救急医療については24時間365日対応しており、急患はヘリにて都内の病院へ搬送され、治療を受けることになります。
きれいな海に囲まれながら、健やかに働ける喜び
そんな診療所を支える心強い存在なのが、島の看護師さん。新島は8名が交代で勤務にあたっていますが、現在欠員が1名出ており、短期スタッフが臨時で勤務しています。外来に3名、人工透析がある日は4名で勤務するほか、週1ペースで夜勤も担当。土日祝日も交代で1名が待機しています。医師の往診はもちろん、専門医による専門診療にも立ち会うため、看護師さんは常にフル回転で働いています。
「内地の病院と違って、島の診療所は専門科に分かれていませんので、いろいろなことをやらなきゃいけないという点は大変です。自分の知らない科や苦手な科も対応しないといけないし、急患対応も1人でこなさなきゃいけない。ただ、先生はいらっしゃいますので、指示してもらえれば何をすればいいのかわかるので心配はないですよ。逆に、内地の病院ではなかなかできない経験を積むことができる、と言えると思います」
そう話すのは、看護師歴32年のベテラン・岩切さん。もともと島外の出身で、看護学校を卒業後は埼玉の病院で働いていたそうですが、29歳のときに友人と旅行で式根島へ。そのとき、たまたま新島で看護師を募集していることを知り「こんな海のきれいなところで働けたらいいな!新しいことをやるなら20代だ!と思い切ってパッと来ちゃった」とか。以来、診療所に欠かせない看護師さんとして活躍されています。
「看護師の仕事はどこで働いても忙しいと思うんです。でも新島のきれいな海を見ているだけで癒されますし、島ぐらしを楽しみながら働いている人が多いですよ。サーフィンをしている人もいますし、釣りを楽しんでいる人もいます。私自身は運動が好きなので、バレーボールで大きな声を出すのがストレス発散法です。
何もしなくても、ぼーっと海を見るだけでもリフレッシュになりますし、精神的にとてもよい環境じゃないかなって思います。内地の病院で人間関係に疲れて看護師を辞めてしまう…という話もよく聞きますが、うちの看護師は関係はとてもいいですよ。看護師って気が強い人が多いですが(笑)、お互いに言いたいことを言い合える職場なので、サッパリとしてわだかまりはないし、働きやすいんじゃないかなと感じます」(岩切さん)
患者さんの人生まるごと寄り添える、離島の看護
島で看護師として働く一番のやりがいは「患者さんの人生ぜんぶと関われること」と岩切さんは言います。
「内地だと、患者さんとは病院に来たときだけの単発のおつきあいです。その方がその後どうなったのか、知る機会はほとんどありません。そこへいくと島の診療所では、患者さんが生まれてから亡くなるまで、ずっと関わることができます。
予防接種から始まって、ケガをしたり、病気になったりしてもずっと経過を見ていくことができますし、内地の病院に入院された方を島で見かけて、『ああ、退院して元気になって帰ってきたんだなあ』とわかって嬉しくなることも多いです。それは島の看護師ならではの喜びなんじゃないかなって思いますね。
もちろん島の医療機器には制限があるので、ここでは治療できないという場合もよくあります。でも、それなら内地の病院でしっかり治療して、元気になって帰ってきたら、あとは診療所で診る、というのでいいんです。その方にとってベストの治療を受けられるのが一番ですから」 (岩切さん)
新しい人が新しい風を運んでくれる
現在、看護師を募集中の本村診療所。最後に「どんな方に来てほしいですか?」とたずねてみました。
「若い方で、長く勤めてくださると嬉しいです。島の診療所では専門性というより広く浅く柔軟に対応できる力が重要。一人でいろんなことをやらないといけないので、できれば3年以上の看護経験がある方に来ていただきたいですね。
知らないことも多いと思いますが、みんなで勉強会を開いたり、ウェブ研修を受けたりすることもありますし、若い研修医の先生に最新情報を教わることもあります。島に長くいると情報が更新されないので、新しい看護師さんが来てくれると新しい風が吹いて、新しい情報が入ってくるのでありがたいですね。あとは、島のおじいちゃんおばあちゃんは本気か冗談かわからないときがあるので、冗談が通じる方だと嬉しいです(笑)
新島の人は心があたたかくて、いい人が多い。そういう人たちを長い間診ていけるのは島の看護師ならではです。新島は交通の便もいいので定期的に東京へ遊びに行くこともできます。ぜひ新島にいらしてほしいです!」(岩切さん)
看護師は1名を募集中。採用された方は、最近新築されたばかりの職員住宅へ入居することができます。きれいな部屋に住み、きれいな海に囲まれて、看護師としてじっくり人と向き合うくらしをしてみませんか?
*看護師募集は終了しました。
診療所の情報はこちら。
写真協力:新島村国民健康保険本村診療所
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